インスペクションとは?そのメリットと調査項目とは?

33view

2018.11.22

目次

インスペクションという言葉を聞いたことはありますか?

住宅診断や建物状況調査という言い方もあります。
中古住宅市場の拡大のために、宅建業法も改正され、これからインスペクションが一般的になるのではという話もあります。

インスペクションとは

ホームインスペクションや、住宅診断ともいわれます。

簡単に言うと、 建物の劣化具合を専門的に調査し、報告書を作ること です。
買主はインスペクションを検討材料にすることができます。

中古不動産の売買において、建物の劣化具合と言うのは、素人では事前に知ることが難しく、購入してから予期せぬ劣化や不具合が見つかってトラブルになるということも珍しくありません。

しかも個人間の取引では、現状引き渡し、保証なしという考えが強く、予期せぬ劣化があったとしても、買主は充分に保証を得ることが難しいのです。

新築着工数の減少の一方で、昨今ではリノベーションなど中古不動産の売買はより活発化しています。
既に中古不動産の売買が活発なアメリカでは、インスペクションは当たり前になっており、日本もこれを追う形で普及が目指されているのです。

2018年4月には、宅地建物取引業法も一部改正がなされ、インスペクション(建物状況調査)の実施の有無が説明事項となりました。

インスペクションを行った場合は、不動産取引の重要事項説明でその内容を伝える必要があります。
ただし義務ではないのでインスペクションを行わなくとも問題はなく、その時は実施していないことを記載します。
重要事項説明書には既にインスペクションの他、石綿使用調査の有無や耐震診断の有無の項目もありますが、これと同様に調査がなされたか記載しなさいという改正です。

ちなみに買主にとっては調査がされていれば安心ですが、調査がされていなくても、悪いことではなく、費用もかかることから現状はあくまで任意です。

インスペクションのメリットは、買主に客観的な建物の状態を伝えることが出来ることです。
インスペクションのない建物との差別化もできます。
ただし、普段見えない部分も調査の対象ですから、売主にとっても想定外の劣化が見つかってしまう可能性はあります。

2種類あるインスペクション

宅地建物取引業の改正以前からインスペクションは存在していました。

現在、インスペクションは大きく分けて2種類あります。
建物状況調査(宅建業法の改正に基づくもの)
宅建業では、「建物状況調査」という言い方をしますが、この場合の調査員は建築士の中でも、既存住宅状況調査技術者講習を修了した者が行います。
手順は、既存住宅状況調査方法基準に則った調査です。

建物状況調査のメリットは、 建築士が行うという安心感と、既存住宅売買瑕疵保険の現場検査が省略できる こと。

既存住宅売買瑕疵保険とは、個人間の中古住宅の売買で、引き渡し後に瑕疵が見つかったときに保証がされるものです。
基本的には個人間の取引では、瑕疵担保責任が免責のことが多く、買主は後から瑕疵が見つかっても十分な保証が受けられません。
一方で、中古でも業者が売主であれば最低でも2年間、新築であれば業者は10年間の瑕疵担保責任を負います。

瑕疵というのは、主要な構造部分の欠陥のことで、雨漏りや柱や梁の欠陥のことを指します。
このような場所に欠陥があったとしても、売主が個人の場合は、責任を取るにも重すぎるため、 個人間の取引では免責や数ヶ月間しか責任期間がないのが一般的 なのです。

既存住宅売買瑕疵保険では、このような個人間の取引でも欠陥が見つかったときに、保険金が出ることで、買主を守ることができます。

実際には、加入していない例がほとんどですが、税制の優遇もあり、メリットがあります。
加入するためには、建物について基準を満たしているか現場検査の手順があります。
この手順で建物状況調査を建築士兼既存住宅状況調査技術者が行うことによって省けるということです。

住宅診断やホームインスペクション

建物状況調査というと、上記のように国の基準に基づいた制度ですが、住宅診断やホームインスペクションという言い方をしているときは民間資格のインスペクションです。

こちらは、必ずしも建築士である必要はなく、民間の複数の団体で取得できる資格です。
名称は「住宅診断士」「ホームインスペクター」など、団体ごとに少しずつ異なります。
先程の既存住宅売買瑕疵保険におけるメリットはありません
宅建業法の改正以前からあったインスペクションはこちらです。

インスペクションのやり方

基本は目視による診断です。
建物に影響を及ぼさない非破壊検査が基本です。

国土交通省が出している既存住宅インスペクション・ガイドラインによって示されている検査項目をまとめると、おおよそ3つに分かれます。
マンションにおいては、専有部分または、バルコニーから目視で見える範囲が調査の対象です。

構造耐力上主要な部分

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」でもよく出てくる言葉ですが、簡単に言うと建物の重さを支えている部分になります。

具体的に言うと 基礎・梁・柱・小屋組 は該当しますが、屋根は重さを支えていないので、構造体力上主要な部分に当たりません。(雨水の侵入を防止する部分に該当します)

腐食や欠損を目視する他、床の傾きを計測したりします。
小屋組や床下などは、点検口から覗き込んで見える範囲を検査することになっています。

雨漏りや水漏れに関する部分

屋根や外壁、サッシ廻りが該当します。天井や小屋組の内壁に雨漏りの跡がないか確認し、外側にも劣化がないかを確認します。

外側のサッシ廻りのシーリング(窓ガラスの周辺にあるシリコン製の弾力のある部分)が劣化している(古くなるほど硬くなります)と、雨水の浸入に繋がります。

外壁の塗装やタイルが浮いていると、雨水が入ったり、割れたり剥がれ落ちたりしてしまいます。
タイル張りの床で、歩くと一部だけ高い音がする部分があった経験はありませんか?

あれは、その部分だけタイルの接地面に空洞ができてしまっているからです。
外壁でもタイルが浮いていないか見るために、打診棒と言われる指し棒のようなもので打診検査をします。
外壁面を撫でるように触れると、浮いてしまっている部分だけ音が違うので、異常箇所が判るのです。

設備配管に関する部分

給水管・排水管・換気ダクトの事です。
水漏れが起きてないかを目視する他、給水管は、錆などが出てこないか排水管は詰まりがないかを見ます。
換気ダクトは接続不良がないかを見ます。

また、配管関係は主要構造部分及び雨水の侵入を防止する部分ではないため、既存住宅状況調査方法基準では定めが特にありません。

以上の項目がガイドラインに定められている内容ですが、実際のインスペクションでは、床下の調査やシロアリ調査など、会社によってその他にも調査ができます。

耐震診断との違いは?

耐震診断は、建物について地震に耐えうる強度があるか見るもので、インスペクションは建物の劣化があるか見るものです。

基本的なインスペクションでは、設計図書との照合をして耐震性の計算までは行いません。
建築基準を満たしているかの判定も想定していません。

ガイドラインにもあるように、基本的な考え方は、劣化の有無を目視で検査することです。
耐震性や省エネ性の判定を計算などを用いて行う趣旨のものではありません。
費用は、最低限の住宅診断だけなら5万円〜、耐震診断なら20万円程度が目安です。

インスペクションは様々

取り扱う会社も多く、費用も様々です。
調査項目もガイドラインプラスαを調査対象としている会社もあり、一口にインスペクションと言っても、比較検討する余地があります。
住宅の寿命が伸び、中古市場が活性化することでインスペクションは、ますます注目されていくことでしょう。

【著者プロフィール】soraki

宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。

このコラムが気に入ったら
ぜひ「いいね!」をお願いします♪

みんなに役立つ情報をお届けします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

あわせて読みたい関連コラム

掲載中のコラムを見る