修繕積立金が足りない!原因と不足しやすいマンションの特徴とは?

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2018.10.15

目次

分譲マンションで毎月かかるランニングコストに修繕積立金があります。

これは、マンションの共用部分の修繕に当てられる費用ですが、全国的に多くのマンションで修繕積立金不足に陥っていることが大変な問題になっています。

修繕積立金とは

マンションのそれぞれの部屋は「専有部」と言われ、いわゆる室内は所有者がメンテナンスを行いますが、室外はすべて「共用部」と言われ、毎月の修繕積立金でメンテナンスを行います。

建物はメンテナンスがされなければ、美観だけでなく配管の老朽化で漏水のリスクも上がりますし、配管が劣化すれば躯体に雨水がしみ込んでしまうこともあります。

定期的に修繕をしていくことは必須ですが、この費用がとにかく高いのです。

そして、修繕積立金を十分に貯めていればいいのですが、この積立が上手くできていないマンションが多く、問題になっています。

積み立てが上手くできないのは、2つの事情が絡んでいて、のちほど説明する新築分譲時の修繕積立金の設定の問題と、経過年数による値上げの問題です。

こんなにかかる修繕費

最も修繕積立金を取り崩すのは「大規模修繕工事」といわれるマンション全体に足場を組んで工事を実施するときです。

外壁の塗り直し、サッシ周囲のシーリング補修、鉄部の補修や塗り直し、屋上防水工事など、どれも建物を維持していくために必要なものです。

マンションの躯体は50年や70年持つと言われますが、寿命までは3回~4回の大きな修繕工事を行いながら、建物を維持します。

1回の大規模修繕工事を行うには、現在の相場は1戸当たり100万円~で、例えば50戸のマンションなら5,000万円ほどは最低でもかかります。

昨今の建築費の高騰も相まって、見積もりを取得したら、前回の大規模修繕工事よりも大幅に金額が高くなるマンションが多いです。

大規模修繕工事の周期は12年が推奨とされますが、義務ではないので建物の劣化具合に応じて実際にはそれ以上、15年周期のマンションも多いです。

マンションでは、戸建てに比べて自身で検討する必要がある修繕工事が少ないので、無関心になりやすいですが、毎月の修繕積立金は建物を維持するために必要なものなのです。

なぜ不足してしまうのか

マンションの新築時は、できるだけランニングコストがかからないようにセールスしなければなりません。

例えば、3,000万円の住宅ローンを組めば、それだけでも毎月8~9万円かかります。さらに管理費や修繕積立金、駐車場料金で2万円以上かかれば、あっという間に10万円は超えます。

修繕積立金の金額は30年以上の長期修繕計画に基づいて設定されますが、新築から5年以内は修繕があまりないので、修繕積立金もそこまで高い必要がありません。

そこで、新築当初は比較的低額な修繕積立金を設定し、だんだんと値上がりをする計画や何年かに一度、数十万円の一時金の徴収を行う計画に新築時点ではされることが多いのです。

販売のために毎月の修繕積立金を低額に見せる手段です。

ここでの問題点は、将来値上げを実際に行うかどうかはマンションの所有者の総意で決まるものであるので、順調に値上げを行えるかという点と、当初の金額が低いため20年以上経つと、倍以上の金額になることが避けられないことです。

機械式駐車場のように修繕費が嵩むものに関しては、駐車場料金を機械式駐車場の修繕費用専用で積み立てるようにするのが理想です。

しかし、実際には駐車場料金は管理費の一部として毎月の収支に組み込まれることが多く、機械式駐車場用に修繕費のストックがないことも多いのです。

マンション広告で見かけることもある機械式駐車場料金月額500円というような、極端に安い駐車場料金も問題で、管理費の一部として収支を計算すれば、駐車場料金が低額だとしても毎月の収支は赤字にはなりません。

しかし、根本が機械式駐車場の修繕費として積み立てる考えでないため、これでは管理費の足しにしかなっていません。

それでも、機械式駐車場は人気がありませんし、マンション=駐車場料金がかかるイメージもあるので、こういった手法は消費者には魅力的に映ってしまうのです。

修繕積立金が不足しやすいマンション

修繕積立金の不足が発生しやすいマンションには、どれも同じような特徴が見られます。

多くの機械式駐車場がある

機械式駐車場は修繕コストがかかるものの代表です。
限られた敷地で駐車場を作るためにマンションで機械式駐車場は珍しくありません。

機械式駐車場は定期点検に加えて、定期的に部品交換が必要となります。

定期点検にはその機械式駐車場のメーカーで行う他、メーカーではない独立系の会社でも行えますが、独立系は定期点検費用は大きく下がる反面、部品交換はメーカーから仕入れを行う関係でメーカーに比べて倍以上かかることもあり、費用の削減が容易ではありません。

重大事故や、駐車場が急に使えなくなってしまうことを防ぐためにも、部品交換は壊れる前に行うことが必要です。

駆動部分のチェーンや操作盤の基盤、安全装置のように多くの部品が使われているので、1回の工事で数十万や数百万かかることもあります。

しかも機械式駐車場もずっと使えるわけではなく、築20年を超えてくると機械すべての入れ替えの必要性が出てきます。機械の形式にもよりますが、1区画100万円ほどかかることもあり、何十台も一度に入れ替えとなると、かなりの負担になります。

築20年以降のマンション

多くのマンションで資金が不足するのは、築25年~30年の2回目の大規模修繕工事の時です。

この時期は1回目の大規模修繕工事同様の工事も必要な上、それ以外にも金額のかかる工事が重なるタイミングでもあります。

例えば、エレベーターのリニューアル工事と呼ばれる、エレベーター機械の一部の入れ替え工事です。

築25年を過ぎると、メーカーでの部品の生産が終了となる時期で、メーカーは機械の一部を新製品に入れ替える工事を推奨しています。

この工事はエレベーターの既存の機械を残す部分もあるので、既存のメーカーでの工事しかできず、他社の相見積もりを検討する余地があまりありません。

1機のエレベーターで1,000万円程度かかるので、総戸数に対して充実したエレベーター台数があるマンションはここでも多額の出費が予想されます。

マンションと人間の高齢化

築年数の経過とともに、修繕費がかかり修繕積立金の値上げ、人件費や物価の上昇で管理費も値上がりすることが多いです。

日本全体の高齢化に伴い、マンションの所有者の高齢化も深刻で、築年数が古いほど所有者の平均年齢も高い傾向にあります。

古いマンション程、年金受給者が増えますので、修繕積立金の値上げにも敏感になります。

資金不足のときに行う対策

建物は年々老朽化していきますから、修繕は避けられません。

長期修繕計画は数年毎に見直しを行い、予め支出の予定を立て、足りないと判断されるときは修繕積立金の値上げを検討します。

しかし、値上げにはマンション所有者での総会の場での決議が必要で、値上げまでに数年の時間がかかることもあります。

値上げができないときは、多くのマンションが行うのはまず修繕の先送りです。

不具合がなければ、推奨する修繕周期よりも数年後に延ばせるものは延ばしつつ、お金が貯まるのを待つことが多いです。

しかし、例えば建物屋上の防水工事は10年保証なので、それを超えると段々と雨水の侵入リスクも高まってきます。

外壁のコンクリートも少しずつヒビの発生や目地の劣化も進むので、先送りにすれば美観の問題も出てきます。

他にも、修繕費用を削減する方法として、高齢化が進んだマンションでは、自家用車の所有率が下がり、駐車場の必要性がなくなってくることがあります。

この場合は、機械式駐車場をなくすことで、定期点検費用の削減も行い、支出を減らすことを行います。

修繕積立金は10年以上先の工事のためにお金を貯めることで、所有者全員の協力が必要なのです。

今後も高齢化が進むことで、値上げを行いながら修繕積立金を集めるのは難しくなっていくでしょう。

家を売るという選択肢も…

修繕積立金の不足で必要な修繕が行われず、居住者も減ってゴーストタウンと化してしまうのを待っていてもしょうがありません。

将来を考えたうえで家を売るという選択肢も加えておきましょう。

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soraki

宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。 新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。 その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。

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