マンションの価格設定の謎!どうやって価格は決まる?

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2018.10.10

目次

新築マンションの価格の決まり方について疑問に思ったことはありませんか。

新築時のマンションの価格設定はデベロッパー(土地開発業者)の戦略で決められているので、消費者は並べられた価格の中から選ぶことしかできませんよね。

デベロッパーの値付けの仕組みと売れ残り住戸について消費者の知らない謎について紹介します。

1棟で総合的に価格を設定している

値付けの時にデベロッパーが最初にすることは、用地の仕入れや建築コスト、利益率を鑑みて1棟のマンションでいくらの売上に持っていくか計算しています。

その売上合計を各住戸に振っていくのです。

間取りよりも先に決まるのは、各住戸の専有面積です。

建築基準法で土地によって建てられるマンションの大きさが決まります。

その土地で建てられる最大のマンションを企画するのが原則ですが、建物全体の床面積の合計には制限があるので、合計床面積を何㎡の住戸を何戸作って割り振るかをまず企画しています。

ほぼ専有面積で販売価格は決まるので、間取りよりも先にだいたい何㎡の住戸にするかを決めてからマンションは設計が始まります。

よく新築マンションは全戸完売しなくても何割か売れれば黒字になると言われます。

いまの市場では完成完売はどこでも難しく、何割かは在庫を抱えてしまうのもやむを得ない状況です。

そのため、竣工した時に何割を完売しておけば黒字にもっていけるというラインがおおよそ考えられているのです。

マンションの価格はよく真ん中の住戸が基準になると言われますが、それは中層階の中住戸を最初に目安として価格を決めて、角部屋をそれよりも高く、上層階は高く、下層階を安く価格を振って決めているからです。

マンションでは、最低価格と最高価格の他にも最多価格帯という全体でどれくらいの価格帯を中心で販売するかという部分も重視します。

タワーマンションなど特殊な形を除き、一般的なマンションでは最多価格帯でおおよそのターゲット層が決まったり、マンションのテーマや広告の打ち出し方が変わってきます。

マンションを検討している人は複数のモデルルームを見学することが多いので、近隣のマンションと比較されるのは日常茶飯事です。

デベロッパーは近隣や直近で販売される競合物件の価格帯も強く意識して価格を決めています。

新築マンションの価格は高いと感じる人はきっと多いでしょう。

マンションは来場者の全員が購入するわけではありません。
平均すると、7組に1組しか成約に至りません。逆に言うと、6組には断られます。

7組に1組に響く価格設定をする必要があり、全員に値打ちと思われるマンションでは価格設定が間違っているのです。

「このマンションは高いな」と6人に思われて、「これくらいなら買えるかも」と1人に思ってもらえる価格が適切と言えます。

口コミでも「このマンションは高い」という評価がありますが、多くの人には高く見えるくらいの価格設定に実は意味があるのです。

4階と5階で価格が変わる

マンションの価格設定は、原則は低層階から1階上がるごとに同じ間取りでも数万円ずつ高くなっていきます。

最近は4という数字が気にならないという人も多いのですが、それでも4階と5階のどちらが売れやすいかというと、5階の方が売れやすいです。

4階か5階に迷ったら、5階にしようかと決める人は多いです。

3階から4階の価格差よりも、4階と5階の価格差を大きめに設定されることもあります。

他にも周辺の建物の状況によっては、一戸建てが多いと4階からは視野が抜けてくることがあるので3階と4階の価格差が大きいこともあります。

条件が悪い部屋は割安にするため、その条件が解消される住戸からは大きめの価格差が設けられます。

価格表を見て大きな価格差があるところがあれば、何かデメリットがある部屋です。

しかし、デメリットさえ気にならなければ、お得に買えるので検討してみてもいいかもしれません。

㎡単価・坪単価

販売価格÷専有面積で求められる単価のことです。

例えば、販売価格5,000万円÷専有面積70㎡=71.4万円(㎡単価)・238万円(坪単価)という具合です。

別のマンションで、もし販売価格が5,200万円で専有面積が80㎡の住戸があれば、65万円(㎡単価)・216万円(坪単価)になるので、この2つのマンションを比較すれば、専有面積の広い方が価格は高くでも割安のマンションという仕組みです。

広い住戸が高いのは当たり前ですが、単価を求めることで、違うマンションの広い部屋と狭い部屋でどちらが割安なのか割高なのか比較できるのです。

エリアの異なるマンションを比較するときも単価を求めることで「ここは人気のエリアだから全体的に単価も高い」という考え方がしやすく、比較しやすくなります。

また、角部屋は中住戸よりも広く、窓も多いので割高に設定されますが、単価にするとどれだけの差があるか比較することもできます。

ちなみに約3.3㎡=1坪で、不動産業界では坪単価の方が一般的に使われます。業界では「つぼたん」と言われ、つぼたんが高いと市場が高騰している、あのマンションは高めの価格設定なのだなと判断しています。

東京カンテイの2017年の総まとめの発表では、首都圏の新築マンションの坪単価は289.8万円です。10年前は224.5万円だったので、坪単価だけで65万円以上も上がっていることになります。

60㎡(約18坪)のマンションにすると、1,170万円の差になりますね。近年は価格が高騰していると言われますが、坪単価にすると歴然です。

高くても売れる最高価格の住戸

マンションで最も高い住戸は部屋が圧倒的に広かったり、ルーフバルコニーがあったりプレミアム住戸と呼ばれます。

最低価格の部屋と比べると割高感はあるのですが、最も良い住戸である、それだけが欲しいという需要が大体どのマンションでもあり、比較的売れやすいです。

また、モデルルームはそういったプレミアム住戸を再現して作られます。

デベロッパーは他の部屋と比べても大きく利益を乗せて販売している部屋です。

後述するようにこのような特別な部屋は、誰でも購入の検討を視野に入れる部屋ではないので、売れ残ると販売が長期化します。

残ってる住戸でマンションの売れ行きが分かる

実は、最後まで売れ残ってしまう住戸の傾向によって、そのマンション全体の売れ行きが良かったのか、悪かったのか見極めることができるのです。

景気が良いとき、人気のマンションは価格の高い部屋から売れます。最上階のプレミアム住戸も最初にあっさり売れたりします。

モデルルームの来場から成約に至るまでのスピードも早く「良い部屋からなくなる」という印象が消費者も強く残るのでしょう。

もし最終分譲で、低層階の安い住戸や狭い住戸しか残っていなければ、そのマンションは売れ行きが良かったと判断できます。

高い住戸の順で売れていくパターンは比較的完売までの期間が短くなります。

その逆は、最終分譲に高層階や価格の高めの部屋が多く残っている時です。

安い住戸が先に売れてしまったケースで、このときは、序盤から販売に苦戦していたと考えられます。

もしくは、低層階と高層階の価格差が消費者に受け入れられなかった結果のため、人気があまりなかったと言えます。

特に最後まで最高価格の住戸が残っていたときは、本来売れやすい部屋が残っているわけですから、割高と消費者に思われている証拠です。

価格が高い住戸は後半に残るとなかなか売れにくいので、値引きの対象になりやすいです。

まとめ

マンションには必ず日照条件が悪い住戸や景色が悪い住戸ができてしまいます。

この住戸は最後まで残る可能性がある、中住戸と角部屋を比較するとあまりに角部屋が高く見える、坪単価の他にも消費者にどのように見えるか、どのような順番で売り切りたいかという視点でも計画を立てて、価格は決められます。

お得な住戸を買いたいと思えば、坪単価やデメリット住戸を考えると良いでしょう。

soraki

宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。 新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。 その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。

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